大日本帝国(軍国主義、全体主義、ファシズム)の正当化ーー「鬼畜米英」から「対米従属」への変節・寝返り
『大日本帝国』の成立
軍備を増強し、批判者を弾圧・粛清し、外国を侵略する国は、「敵国が侵略しようとしている。これは国を守る自衛のための戦争だ。相手国が悪い。我国は被害者だ。批判者は我国を陥れようとしているスパイだ」と常に誰かを攻撃することで、自分の行動(権力支配・既得権益)を正当化しようとする。
例えば、戦前の日本で欧米列強によるアジア侵略に対する不安・恐怖・劣等感の中で、その脅威に対抗するために富国強兵のスローガンを掲げ、国内の産業財政教育制度を整備し、軍事力を強化し、中央集権国家体制を確立していった。
と同時に、対外的には資源・領土・利権を求めて大陸に侵略・植民地化していく中で 、『皇国史観』(選民思想)に基づく『忠君愛国』教育を推進し、「日本は神の国。優れた民族」「外国人は野蛮な劣等民族」などのプロパガンダで差別や憎悪を煽り、洗脳し、全体主義・軍国主義・帝国主義体制を整えていく。
そして、その『軍部・政治家・財閥』のトライアングル(軍部独裁体制)の中で、国民はただの1つの『使い捨ての消耗品』となり、次第にエスカレートし、日中戦争に突入し、新聞が戦争を煽り、戦争に疑問を呈し、全体を客観的に分析し、冷静に判断できる人や、政府に批判的な人を次々と弾圧・粛清していく。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、もはや誰も止める人がいなくなり、欲望の暴走・膨張の抑制が効かなくなり、嘘に嘘を積み重ね、後戻りすることができなくなり、ついには欧米との利害衝突の中で太平洋戦争へと突入する。
そこではその自分の権力支配を正当化するために「欧米は日本を侵略し、蹂躙しようとしている(鬼畜米英)」という被害妄想のもと、「欧米列強から東アジアを解放する」という名目で『自存自衛・大東亜共栄圏建設・八紘一宇』のスローガンを掲げ、その行動(侵略戦争)を正当化しようとした。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、“冷静な判断力・想像力”が麻痺してしまい、“人間としての尊厳・共感能力”が失われ、特攻や玉砕やインパールや捕虜·住民虐殺などを次々と行う。そこでは決して自分の誤り・失敗を認めない。反省し、撤退することができない。
つまり、それは国家・権力者と同一化し、他者・弱者・少数者・批判者に強制・支配することで、自分の中の不安・恐怖・劣等感・不全感を解消するための“依存行動(依存症)”にすぎない。
「“国家・天皇・教祖・組織・企業のため”という名目で、ただ自分に服従させる。強制する。捕虜や住民を虐殺する(させる)、部下を特攻(死)に追いやることで組織を一体化させ、支配欲を満たし、安心感・満足感・優越感・万能感を得る」ことにある。
だから指揮官は部下に命令するだけで、自ら進んで死にに行くことはない。
自分は安全な所でのうのうと暮らし、その行動を「国を守るためで仕方がなかった。それは決して私利私欲のためではなかった」と自己正当化し、自分のしたことを反省し、責任を取ることはない。
そして敗戦後も、日本自ら自分達がやった行動を反省することもなく、なぜたくさんの犠牲者を出してしまったのかという根本原因を究明し、事実を解明し、指導者の戦争責任を追及することなく、米ソを中心とした『東西冷戦構造』の中にそのまま組み込まれ、それまで「鬼畜米英」を叫び、多くの人間を死に追いやった同じ人達がそのまま「対米従属」に変節し、寝返った。
それは不安・恐怖・劣等感の中で、国家・強者(米国)に同一化することで、安心しようとする『心理的メカニズム』が働いている。そして、その行動を正当化するために、常に『仮想敵』を作り出し、人々の不安・恐怖・憎悪を煽ろうとする。
保守派の変節・寝返り。ーー「皇国史観・鬼畜米英」から「対米従属・反共主義」へ。
人は、戦争・災害・疫病・貧困・虐待などのストレスに曝され続けると脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、感情・欲望・行動を抑制することが困難になる。そしてストレスを軽減しようとする防衛機制が働き、攻撃的になり、保守的になりやすくなる。
抑制機能が低下し、不安・恐怖が強まるに連れ、何か大きなもの、強いものに縋ろうとする。それは神・宗教・思想・イデオロギーだったり、アイドル・スポーツ・モノ・金だったりして、それに傾倒し、熱中し、心酔し、依存することで安心感・満足感を得ようとしているのである。
それ故に権力者・独裁者は、「敵国が我国を攻撃しようとしている。批判者は我国を貶めようとしている敵国のスパイだ」と不安・恐怖・憎悪を煽ることで自分の権力支配体制・既得権益を正当化・絶対化しようとする。
しかし、それは一方で、それに依存し過ぎると周りがよく見えなくなる。物事を客観的・俯瞰的・多角的に見れなくなってしまう。反対の立場になって考えられなくなってしまう。1つの価値観に凝り固まってしまい、それを正当化しようとする余り、その行動を他者から批判されたり、注意されたりすると激しく攻撃するようになってしまう。
そこでは科学的・論理的思考が麻痺してしまい、デマや陰謀論に騙されやすくなってしまう。自分に都合の良いことばかり執着し、都合の悪いことは無視する。否認する。見えなくなる。捏造する。嘘をつく。そして、最後には自分を正当化するために他者を誹謗中傷する。
そして、それは緊急事態・有事・災害や不正汚職・スキャンダルのときの対応の遅れとなって表れる。
窮地に陥ったときにパニックに陥り、今何が一番大事か判断し、何をすべきか臨機応変な対応ができない。どうしたら問題を解決できるかを考えられない。自分の保身にばかり拘り、被害者・被災者・国民の立場に立って素早く行動に移すことができない。自分の行動を反省し、改善できない。
ネトウヨ・カルトは「特攻は犬死だ。なんの意味もなかった」と言うと激昂する。そこでは大局的な視点で物事を捉えることができない。失敗を失敗と認識し、反省できなければ発展・進歩することはできない。
また「ゆとり教育、ジェンダーフリー、性教育、選択的夫婦別姓、LGBT法、教育格差是正、差別撤廃、ヘイト規制、死刑廃止など」の主張に対して激しく抵抗する。それは不安・恐怖・劣等感・不全感の中で、『権力支配体制・学歴社会・男尊女卑・家父長制など』に依存し過ぎているから、その今まで信じて生きてきた支配体制・既得権益・依存行動が否定されるのが怖いからに他ならない。
それはネトウヨ・カルトが国家・権力者・教祖に同一化・隷属・服従することで、安心感・満足感・快感(ドーパミン)を得ようとしているから、それを正当化するために、それを否定しようとする意見に対して「自分を攻撃しようとしている。日本を貶めようとしている。日本人ヘイトだ!」と怒り出す。(それは依存症と同じ。自分の行動を否定されると激昂する。自分が病気だと認識できない)
つまり保守派は、「国家に服従・隷属する」ことを正当化するために、常に『仮想敵』を作り、不安・恐怖を煽ることで、自分の支配体制・既得権益を正当化しようとしているのである。
戦後「支配体制・既得権益の正当化」と、『歴史修正主義』という【神話】
戦前は、欧米列強のアジア侵略による脅威に対する不安・恐怖・劣等感の中で、自分たちの支配体制・既得権益(藩閥政治→軍部独裁体制)を正当化し、強化していった。
しかし、そこで『依存の悪循環(負のスパイラル)』に陥り、自分の欲望(支配欲・被害妄想)の暴走を抑制することができず、太平洋戦争(真珠湾攻撃)に踏み切り、破滅する。
そして日本はポツダム宣言を受託し、アメリカ占領支配のもとで『軍部・政治家・財閥』の支配層(軍部独裁体制)を解体し、民主化を図ろうとするも、その後の『朝鮮戦争』から『東西冷戦』へと移行する過程で、アメリカ軍産複合体支配体制の中に組み入れられてしまい、アメリカ主導のもとで新しい支配体制が形作られた。
そこでは「反共産主義」のプロパガンダのもと、一度は解体しようとした戦前の『軍部・政治家・財閥』の支配体制(組織)が、そのまま『自民党・官僚・財界』に再生・移行されてしまった。
①.国家権力は支配体制を保つために、仮想敵を作り、不安・恐怖を煽り、戦争を仕掛ける。
②.支配体制を正当化するために、歴史を書き換える。神話の作成。『明治維新・大日本帝国』の正当化。
③「対米従属・自民党独裁体制」の正当化。
そして、そういう人達が、その自分の行動(変節・寝返り)を正当化するために、自分達の支配体制・既得権益=『対米従属・自民党独裁体制』を正当化するために歴史を書き換える。
『対米従属・自民党独裁体制』を正当化しようとするプロパガンダ
・明治維新(テロ・クーデター)の正当化。靖国神社の神聖化。家制度(家父長制・夫婦同姓)の絶対化。『大日本帝国(全体主義・軍国主義)』の正当化。
・日本の大陸進出は侵略ではなかった。植民地支配ではなかった。
・日中戦争は中国が悪い。 ・欧米の侵略に対する正当防衛だった。
・太平洋戦争はアジア解放のための聖戦で、現地の人から歓迎されていた。
・住民虐殺はなかった。捕虜虐殺はなかった。人体実験はなかった。
・強制連行·強制労働はなかった。 ・慰安婦はただの売春婦。
・特攻は犬死ではなかった。米軍に対する絶大な効果があった。
・特攻・英霊のおかげで今の平和·繁栄がある。※『明治維新・藩閥体制』や『大日本帝国・軍部独裁体制』を否定すること、「悪いことをした。酷いことをしてきた」とすることは、自分達の『対米従属・自民党独裁体制』を否定することになる。
そこでは、【歴史否認・修正】すると同時に、「共産主義国が侵略しようとしている」という【被害妄想・陰謀論】の中で、マスコミを使って国民の不安・恐怖や憎悪を煽ることで 『自民党・財界・官僚』のトライアングル(対米従属・自民党独裁体制)を強化しようとしている。
その結果⋯
対立や脅威を煽れば煽るほど、日本は軍国主義・全体主義(戦前の大日本帝国)に後戻りし、「国のため」という名目で、米国に土地を差し出し、言い値で兵器を買い続け、結果、米国や支配層は儲かっていく、一方で、日本国民はどんどんと疲弊していく。